MENU

ご挨拶

第32回日本組織適合性学会大会
大会長 村田 誠
(滋賀医科大学 内科学講座 血液内科 教授)
村田 誠

 このたび、第32回日本組織適合性学会大会を2024年9月26日(木)から28日(土)まで、ウインクあいちで開催させていただくこととなりました。準備段階では新型コロナウイルス感染症の流行が続いていたため滋賀県内の会場が予約できず、名古屋市での開催となりました。一方、その後流行が収束したことから現地開催のみとしました。

 さて、本大会のテーマを「組織適合性学の進歩が切り拓く未来」としました。1974年に日本で初めて骨髄移植が実施されてから、今年でちょうど50年。今では毎年3,500件を超える同種造血細胞移植が国内で実施されています。この同種造血細胞移植の普及には、HLA分子の同定、移植成績におけるHLA適合度の重要性の認識、HLA検査法の進歩などが大きく貢献しました。そして移植方法の改良により、かつての「どこまで患者とドナーのHLAを適合させられるか」から「どこまで不適合を許容できるか」に関心が移りつつあるように思います。また、臓器移植においてはドナー HLA特異的抗体の有無や、最近ではエピトープミスマッチの意義などが注目され、HLA適合性は依然として重要な課題です。

 そこで本大会では、森島泰雄先生より特別講演「我が国における造血細胞移植50周年を記念して」を賜ります。また、Effie Petersdorf先生からは「組織適合性抗原に関する最新情報」を、山崎聡先生からは「造血幹細胞の体外増幅」について特別講演を賜ります。

 また、シンポジウムとして「これからの移植に役立つHLA情報」を企画しました。移植医療(造血細胞移植/臓器移植)はこの組織適合性領域にこれから何を求めていくのか、逆にHLA検査技術や免疫遺伝学の進歩は移植医療に何をもたらすのか、について考える機会にしたいと思います。また、シンポジウム「MHC/HLA研究の最前線」では、トップジャーナルに掲載された世界最先端のMHC/HLA研究成果をご紹介いただき、組織適合性学の研究が今どこへ向かっているのかを学びます。そしてシンポジウム「遺伝子導入T細胞療法の現状とこれから」では、HLAを認識するT細胞側に着目し、CAR-T療法やiPS細胞由来T細胞療法の最新情報を分かりやすくご紹介いただきます。もちろん例年通り「QCワークショップレポート」もシンポジウムとして開催いたします。

 一般演題は採択された47演題のうち、4演題は学術奨励賞候補演題として、18演題は一般口演として、25演題はポスターセッションとしてご発表いただきます。そして間陽子先生の学会賞受賞講演、さらには教育講演、初心者講習会、ランチョンセミナー、QCワークショップ集会など盛りだくさんな内容になっています。そして2日目夜には5年ぶりの会員懇親会を開催いたします。自由なディスカッションを通して、会員相互の親交を深めて頂ければと思います。

 本大会が、参加される皆様の明日の臨床、研究、業務に直接お役立ていただけること、そして組織適合性学の未来を切り拓く一助になることを願っております。